造形村（ボークス）

歴史

造形村は、株式会社ボークスが立体造形物の企画開発、製作を行う際のブランド名、グループ会社名です。

造形村は1992年創業で、「無から有への挑戦！」をキャッチフレーズとしています。ボークスの原型製作部門として出発した造形村は、会社の中でもとりわけ造形力に長けたスタッフが京都に集まり、発足されました。

造形村の作り出す製品は、オリジナル商材から映画、TVアニメのキャラクターまで、日本のみならず世界で高い評価を受けています。

特に世界の評価が高いのは10年続くプラスチックモデルの航空機、SWS（スーパーウィングシリーズ）です。鉄道模型は、SRS（スーパーレールシリーズ）として新幹線、ディーゼル機関車などがリリースされています。

大元の会社である株式会社ボークス（VOLKS INC.）は、1972年に創業されました。本社は京都府京都市に位置しており、模型ホビーの製造、卸し、小売を事業内容として広く展開しています。

なお、「無から有への挑戦！」をモットーとする造形村以外にも、新しいドールホビーの文化を育むドルフィー、高級粘土を扱うアートクレイ事業部、金型製造からソフビ事業を展開するアイアンアート事業部、原型作品の複製や組み立て、組み合わせを主に手がける株式会社ヴァージナルアート（VIRGINAL ART）など、多くのグループ会社があります。

特徴

造形村は、自社の特徴を6つ挙げています。

一つめは「本物の再現」にこだわること、そして二つめは「プラスチックを最大活用」することです。加工性に優れたプラスチックの特性を理解して、精緻な形状再現を目指すとともに、塗料のノリの良さも実現しています。

三つめの特徴は、「図面だけに頼らず」写真から実物の構造や全体のフォルムを読み取り、見た目を本物に近づける姿勢です。

造形村の特徴四つめは、「魅力的な機体を納得のスケールで」というフレーズです。鉄道模型はそこまでバリエーション豊かではありませんが、航空機のラインナップは実に豊富です。

特徴に掲げる五つめは「手に入れやすい価格で」提供すること、そして六つめは「深く追求できるもの」として模型周辺の関連アイテムを提供することです。

プラスチックの造形力とコストの低さを活かした模型作りは、造形村の得意とするところです。作る用と保存用など、同じ製品を複数個購入してもお財布がいたまないような価格設定を積極的にアピールしているのが、造形村の魅力といえるでしょう。

とはいえ、安かろう悪かろうではありません。

資料と写真を読み解き、リアルな姿に近づける企業努力、会社の中でも特に造形力に自信のあるスタッフによる努力の賜物といえます。調査に基づいた確実な仕事が特徴です。

ファンを惹きつける理由

造形村は、特にSWSという航空機シリーズが有名で、海外の戦闘機模型が好きなファンに支持されています。

整備兵やプロペラ取り付けセット、オイルタンク交換セットなどの付属品、周辺アイテムの取り扱いも多く、リアルな戦場を再現したい人にとっては魅力的な商品ばかりのはずです。

鉄道模型は、SRSというシリーズで新幹線、ディーゼル機関車、電気機関車を販売しています。

SRSから最初にリリースされたのは、HOゲージの0系新幹線0番台です。プラスチック製ならではの柔らかい造形が初期新幹線のぽってりと丸いフォルムをよく再現しています。

ディーゼル機関車は、故障の多さから「悲運の機関車」の異名で知られるDD54形で、16番ゲージという希少性もさることながら、「DD54が本来の性能を発揮していたら」という架空の設定が鉄道ファンの心をくすぐります。

DD54は日本の期待と関心を一身に背負ってデビューしたにも関わらず、不運としかいいようのない故障が相次いだことで、ほとんど活躍できないまま引退になってしまいました。鉄道ファンの中には、歴史に翻弄された本車に哀愁を感じる人も少なくないはずです。

また、SRSの電気機関車は第二次世界大戦中に開発されたEF13で、こちらも鉄道史に残る実車となっています。EF13は、大戦中に開発された経緯から極限まで資材を節約する形でつくられました。

その車体のフォルムから凸形と呼ばれています。戦時設計の欠陥機関車という不名誉な異名もありますが、非常時が日常となってしまった当時に、限られた資材、限られた時間で設計されたEF13は、終戦後も戦後復興の担い手として量産され、日本の立て直しに尽力したモデルでもあります。

この戦時型モデルのEF13は、世界で初めて造形村によって製品化されました。

造形村が愛されるのは、このように歴史に大きな足跡を残した車輌を高い精度で再現していることにあります。特に、資料の少ない車輌は時の流れとともに再現が不可能になることも珍しくありません。

その前に模型化する造形村の気概に、ファンは惚れ込むのではないでしょうか。プラスチックならではの高い造形性も、人気の理由の一つです。

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