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ライオネル

歴史

ライオネル(Lionel)は、米国の鉄道模型メーカーで製品は堅牢な作りに定評があります。

1900年にニューヨークで設立されたメーカーで、当初は店頭に並べるディスプレイ用の模型を手がけていました。展示されていた製品が話題になり、一般向けの玩具として販売することを熱望されたことで一般向けの製品製造を開始、米国の三大鉄道模型メーカーのひとつとみなされるまで急成長を遂げました。

親子孫と三代にわたって遊べる模型として欧米では知られており、中古市場でも特に初期の製品は高額になる傾向があります。

1930年代には、一時世界恐慌の影響を受けて倒産の危機に陥りますが、1934年にウォルト・ディズニー・カンパニーと契約。ミッキーの手押し車や、ミッキーを機関士とした鉄道模型などを手がけ危機を脱します。

ライオネルの黄金時代とされるのは1946年から1956年。ディーゼル機関車が、当時の代表的な製品として有名です。

その後、ライオネルが主力としていたOゲージから半分の大きさであるHOゲージへと流行が移り変わり、ライオネルは苦境に何度目かの苦境に陥ります。

それを打開するため、1960年代には、ポーターケミカルカンパニーと提携し、当時の科学技術を使って知育玩具の製造も手がけています。化学セットや顕微鏡セット、鉱物学キットなどを販売して、低迷した鉄道模型の売上を補填し、事業を存続させようと試みたのです。ですが、その取り組みはあまり上手くいきませんでした。

そこから、ライバル社であったアメリカン・フライヤーの設備や企業本体を買収するなど、再起を図りますが成功せずに終わります。

ライオネルの鉄道模型ファンは、ゼネラルミルズに製造権を売却した1969年をもってライオネルの時代は終わったとみなしていますが、実際にメーカーが廃業したのは1993年のことです。

特徴

ライオネルの鉄道模型は、ティンプレートという錫メッキをしたブリキ板を加工して作られています。米国ではアメリカン・フライヤーがライオネルと同様にティンプレートの鉄道模型を作っており、両者はライバル同士としても有名でした。

ライオネルの初期の製品はカラフルな塗装を施した車両が多く見受けられ、しばしば競合他メーカーの批判にさらされました。カラフルに塗装したのは、当時主婦として子育てを一手に引き受けていた母親の目に止まりやすくするためといわれています。カラフルな列車模型は、さまざまなおもちゃの並ぶ玩具売り場で目立ちやすく、母親が息子に買い与えやすいと考えられていました。

なお、リアリティのない塗装で批判されたライオネルは、他社の製品のことを「耐久性に乏しい」と批判し返して、保護者に壊れにくさを追求した自社の堅牢な構造をアピールしたといわれています。

実際、大掛かりな広告キャンペーンもあいまってライオネルの認知度はUP。多くの米国人にとって、子ども時代を象徴する鉄道模型メーカーとみなされています。

第二次世界大戦後は方針を変更し、よりリアリスティックな塗装を施したOゲージ模型の製造に注力しましたが、時代がOゲージの半分のサイズであるHOゲージを求めたことで、低迷し打開策を模索することになります。

ライオネルの特徴は、何度も経営危機い陥りながらもその度に不死鳥かのごとく蘇っているところです。ウォルト・ディズニーとの契約、知育玩具のための科学系企業との提携など、多くの企業が手を差し伸べて、ライオネルを苦境から救いました。

これは、三代にわたって遊べるという堅牢性を誇るライオネルの模型が、それだけ多くの子どもたちに寄り添ってきた証左といえるかもしれません。手を差し伸べた企業の中には、子ども時代をライオネルの鉄道模型と過ごしてきたかつての少年もいたのでしょう。

ファンを惹きつける理由

米国人にとって、ライオネルの鉄道模型は少年時代を象徴する玩具です。

また、ライオネルの初期の製品は当時の米国の勢いや豊かさを彷彿とさせるアイテムでもあり、実際の車両とは大きく離れたカラフルな塗装はさまざまなアイコンとして人々の心に残っています。

日本においても、世界的に知られている老舗メーカーであり、堅牢性を特徴とする模型とあって、欧米の車両を好むファンから愛されています。

ブリキ板を加工したティンプレートは、リアルな造形の真鍮性鉄道模型と比較すると、おもちゃのような質感や佇まいが目立ちます。それゆえ、好き嫌いがハッキリ分かれるメーカーといえるかもしれません。

とはいえ、ライオネルが製造を開始した当初はティンプレート・トイは高級品であり、1930年代後半の大量生産・大量消費という時代の到来とともにやっと大衆的な玩具になりました。米国が豊かに、そして強大になっていった時代を見てきたライオネル。こうした近代史に思いを馳せるファンも、実は少なくないかもしれません。

中期から後期にかけてのライオネル製品は、高額な製品とリーズナブルな製品との差が激しく、中古市場で掘り出し物や宝探しを楽しむ愛好家もいるはずです。

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