カワイモデル

歴史

株式会社カワイモデルは、1928年創業の鉄道模型メーカーで、現存する日本最古の模型製造メーカーとされています。

前身となった川合模型製作所は、兼之と延之の川合兄弟によって設立されました。当初は展示模型を主に手がける予定でしたが、カワイモデル名義となった1928年から鉄道模型も製造・販売をするようになりました。

1936年には、雑誌「模型鉄道」を創刊、これは日本初となる鉄道模型の専門誌となりました。

交通博物館の展示型模型もカワイモデルが提供しているものが多く、鉄道模型を趣味の一つとして確立させた先駆者的な立ち位置です。

戦前は、縮尺を厳密に再現したスケールモデルを扱い、当時主流だったティンプレート製模型とは一線を画す存在と見なされていました。ティンプレートはブリキ製玩具の総称で、スケールモデルと比較するとやや精密さに欠ける部分があります。

戦後は、独自性の高いフォルムを開発し、精密志向から転向しています。戦前に作られたカワイモデルの鉄道模型は精巧な模型というイメージがもたれていましたが、戦後、特に1960年代後半に作られたカワイモデルの鉄道模型は、やや大味であるとともに、手の届きやすい価格帯であるという評価がされています。

とはいえ、決して価格だけを追求して粗悪品を作ったわけではありません。現に、1960年代にカワイモデルが発表した鉄道模型用小型モーター「カワイ13-L」はその利便性と汎用性が大いに評判となりました。

日本最古の鉄道模型メーカーとして名を馳せたカワイモデルは、時代に合わせて生き残りの道を模索し、製品開発の舵を切ってきたのかもしれません。

特徴

カワイモデルの最大の特徴であり強みは、現存する日本最古の鉄道模型メーカーであるという点です。戦前・戦後と華々しくその名を轟かせた鉄道模型メーカーは数多くありますが、いずれも時代の流れとともに運営が難しくなったり、後継者を見つけることができなかったりと、廃業を余儀なくされてきました。

また、現在も名を残す大企業であっても、合併などにより鉄道模型部門の取り扱いが大きく変更になってしまうことも。そうした中で、カワイモデルは1928年の創業から現在まで、鉄道模型のパイオニア的地位を保ち続けています。

カワイモデルは、日本における鉄道模型の立ち位置を定めたメーカーでもあります。

ヨーロッパでは屋内外で鉄道模型を走らせて遊ぶ文化が根づいていましたが、日本では鉄道自体が海外から流入してきたものであり、模型も当初は博物館展示が一般的でした。いわば、教育教材として展示される「学習オブジェクト」にしか過ぎなかったものです。

カワイモデルは、これを趣味の領域に持ち込みました。教材として見られていた鉄道模型を、組み立てて楽しみ、鑑賞して楽しみ、走らせて楽しめるホビーアイテムに変えたのです。

カワイモデルは、戦前には35mmゲージ製品を発表していましたが、戦後はHOゲージを主に製造・販売していました。HOゲージは、Nゲージと比較すると鉄道の重厚感を感じやすいサイズが魅力です。カワイモデルでは、ジオラマを構成するのに必要な部品や塗料なども取り扱いをしていますが、この品揃えにも鉄道模型を楽しめる趣味だと啓蒙してきたカワイモデルの自負を感じさせます。

ファンを惹きつける理由

カワイモデルは、その存在自体が日本の鉄道模型のレジェンドであり、鉄道模型を愛するファンであれば、誰もが敬意を表するであろうメーカーです。

時代の移り変わりにともない、戦前の子ども用玩具を作ってきた鉄道模型メーカー、戦後の外貨獲得に大きく貢献した老舗鉄道模型メーカーが廃業を余儀なくされてきましたが、カワイモデルは最古のメーカーとして君臨し続けています。

この歴史の長さにロマンを感じない人はいないでしょう。

カワイモデルは展示用と見なされていた鉄道模型を、趣味用の玩具として啓蒙したメーカーでもあり、言い換えれば日本国内の鉄道模型愛好の歴史はカワイモデルから始まったといっても過言ではありません。

戦前には、ティンプレート（ブリキ製玩具）が一般的だった時代に、縮尺を意識した精密なスケールモデルを製造し、他メーカーとの差別化を図りました。博物館の展示用模型を製造できるほどの確かな技術があったからこそ、鉄道模型の啓蒙活動を行うことができたのでしょう。

日本初の鉄道模型専門誌の立ち上げなど、パイオニアにふさわしい活躍ぶりは誰もが認めるところであるはずです。

また、興味深いのは戦前は精密な模型づくりを行ってきたのに、戦後〜1960年代にかけては、鉄道模型初心者が手に取りやすい価格帯の普及品を製造・販売している点です。完成品とキットの両方を取り扱っているので、未開封の中古品であれば、今でもその時代の息吹を感じながら組み立てを楽しむことができるでしょう。

価格を抑えているために蒸気機関車などは外観のリアルさに欠けるという声もありますが、貨車のラインナップは粗さがあまり気にならないという評価も聞かれます。

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