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メルクリン

歴史

メルクリンは、1859年にドイツで創業された鉄道模型メーカーです。日本では、マークリンあるいはメルクリン兄弟社と表記されることもあります。

創業当初は、ドールハウスに使うミニチュアのフライパンやブリキ製玩具を製造していました。ドイツだけでなくスイスやオーストリアという近隣諸国まで行商に行くこともあり、ドールハウス用台所セットなどを広く販売しました。

ほかに船や自動車、飛行機の模型やままごとセット、こま、組み立てブロックなど、一時は90以上の製品を扱うほど大規模な生産体制を敷いていました。

鉄道模型に本格参入したきっかけは、蒸気機関車「コウノトリ」の製造です。

現在は、HOゲージと、大型鉄道模型の1番ゲージ、手のひらにのるくらい小さなZゲージの3種サイズを展開しています。

メルクリンの鉄道模型は、親子三代にわたって楽しく遊べるほど耐久性に優れた鉄道模型と謳われ、鉄道模型の世界的最大手といえる存在です。

以前は保守的な社風というイメージがありましたが、鉄道模型を知育玩具のひとつとして捉えるというモットーに則り、デジタルシステムの導入にも積極的です。1984年には、早くもメルクリンデジタルと銘打ったデジタル式の制御装置を開発、販売しています。

また、メルクリンといえば「きかんしゃトーマス」TVシリーズにおいて、撮影用モデルをメルクリンの鉄道模型が務めたことも有名です。「きかんしゃトーマス」では、メルクリンの1番ゲージ機関車などがキャラクターとして改造を施され、撮影に用いられました。

2009年に一度破産手続きをしていますが、資金繰りを見直して翌2010年には自己再生を果たし現在に至っています。

特徴

メルクリンの鉄道模型の特徴は、何よりその頑丈さにあります。

鉄道模型は知育玩具であるというポリシーのもと、壊れにくく運転性能に優れた模型づくりを行なっています。例えば、車輪のフランジを高めにしたりショートスケールモデルの客車を採用したりすることによって、急曲線が曲がりやすい工夫がなされています。

実車と同様の縮尺で造形を追求するブランドと比較するとリアルさには欠けますが、その分耐久性と運転性能は格段に強いといえます。

また、1984年から販売がスタートした制御装置「メルクリンデジタル」は、走行音を再現する、パンタグラフの上下や多数の列車の同時制御が可能など、より走らせる楽しみを追求するシステムとなっています。

メルクリンの手がける車両ラインナップは、ヨーロッパや米国の車両で、毎年100種類以上の新製品が発売されています。期間限定や数量限定といった限定品が多いことも特徴で、多くの車両から架空の組み合わせを作ったりジオラマと組み合わせて時代別に車両の組み合わせを再現したりと、多様な走らせ方が可能になっています。

なお、多くの鉄道模型が直流二線式で車両を生産する風潮にあり、メルクリンは昔ながらの交流三線式で模型生産を続けています。交流三線式は直流二線式と比べて自由なレール配置が可能なため、よりレイアウトの可能性が広がるといえるでしょう。これは「メルクリンシステム」とも呼ばれ、メルクリンの鉄道模型の代名詞ともなっています。

ファンを惹きつける理由

メルクリンがファンを惹きつける理由は、大きく分けて2つあります。

ひとつは、上に挙げたように交流三線式を採用していることです。交流三線式は、鉄道模型の黎明期に多く採用されていた方式で、ある種のノスタルジーを感じさせるものです。多くの鉄道模型が直流二線式に切り替えていますが、メルクリンは交流三線式を採用し続け、デジタル技術を取り入れた制御装置と組み合わせて進化を続けています。

交流三線式は、直流二線式よりもレール配置の自由がききやすく、コンパクトなスペースで鉄道模型を走らせることが可能です。また、メルクリンの鉄道模型の造形自体が急曲線を曲がりやすい設計になっているので、実車よりも小回りのきくデザイン。省スペースで遊べるのは日本の愛好家にとっても嬉しいですね。

昔ながらの伝統とデジタル革新を融合させ、メルクリンのブランドをアップデートさせていく、これがメルクリンや鉄道模型ファンに愛される理由のひとつになっていることは間違いありません。

ファンが惹かれるもうひとつの理由、それは鉄道模型最大手というメルクリンのブランドそのものではないでしょうか。

メルクリンのコレクターは世界中に存在し、元米国大統領のロナルド・レーガンも有名な愛好家の一人です。

また、「きかんしゃトーマス」という世界で愛される長寿児童向け番組に機関車模型が採用されるなど、鉄道模型のアイコン的なメーカーであることは疑う余地がありません。そしてその地位に驕ることなくデジタルシステムの開発やラインナップ拡充に努めています。知育玩具としての鉄道模型を追求し続ける姿勢こそ、ファンに愛される理由でありメルクリンをメルクリンたらしめているものといえるのではないでしょうか。

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