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東武鉄道

大手私鉄中の老舗で、1897年の創立からの社名及び社紋を維持している数少ない鉄道会社。東武鉄道は旅客駅数207駅、営業距離463.3km(2020年度)という広い路線網で東京都、千葉県、埼玉県、栃木県そして群馬県を繋いでいます。

歴史

 東武鉄道は、1897年11月1日に創立、その2年後に北千住~久喜間の営業を開始、更に3年後に吾妻橋~北千住間の営業が始まります。この吾妻橋駅が後に東京の一大観光地となるとうきょうスカイツリー駅です。

 東武鉄道の駅別1日平均の状況客数では1位の池袋駅と2位の北千住駅(2018年)が3位以下を大きく引き離しており、両駅とも多くの通勤・通学の足となっています。

その池袋駅は、東上鉄道(株)が創立総会を開いた3年後の1914年に池袋~田面沢間で営業を開始しました。東上鉄道の社長に就任したのは東武鉄道の社長、根津嘉一郎氏です。

根津氏は文化事業の一貫として、練馬区に現在の武蔵大学及び高校、中学を創立した人物でもあります。

 東武鉄道は近代化も進める中、1927年に館林~伊勢崎間及び淺草~伊勢崎間の電化を完了させます。

第二次世界大戦終了直前からは路線網の更なる拡大が進み、1943年に下野電気鉄道㈱と越生鉄道㈱を買収、翌年には総武鉄道(現野田線)と合併しました。

 東武鉄道が特急電車の運転を開始したのは1949年のことで、都内から日光方面を繋ぎ「華厳号」と「鬼怒号」と名付けられました。当時は毎日1往復、土日は2往復という頻度でした。

 この2年後の1951年に2人がけの通称「ロマンスシート」で当時一世を風靡した5700系ロマンスカーが生まれました。

白帯の1700系ロマンスカーが就役したのは1956年のことで、その4年後に1720系デラックスロマンスカーが運行を開始します。

 東武鉄道はまた時代のニーズに応え、他社との連携も図っていきます。1962年に伊勢崎線が日比谷線、1986年には鬼怒川線が野岩鉄道と、その翌年には有楽町線と相互直通運転を開始しました。

 また急行や特急、新型車両導入で利便性を高めていく流れで、1990年には日光や鬼怒川に訪れる多くの観光客に向け100系スペーシアを就役させました。その翌年には全特急列車を100系スぺーシア化します。

 観光客の集客と同時に沿線住民との繋がりを築き、東武鉄道は1997年に創立100周年を迎えました。

2000年代に入ると東武ワールドスクエアや東武動物公園等の営業はグループ会社が引き継ぐといった動きもありつつ、その後も複数のグループ会社と連携によって沿線の地域生活向上に貢献を続けています。

 海外に目を向けた活動では例えば近年の日本文化人気に対応し、2015年には海外からの外国人旅行者を対象とした「KAWAGOE DISCOUNT PASS」を発売、また同年には台湾鉄路管理局と友好鉄道協定を締結、その後双方で様々なコラボキャンペーンが展開されました。

 より便利で快適な旅を目指し最新技術が取り入れられると同時に日本ではレトロや「リバイバル」への人気も根強く、時に大変な盛り上がりも見せます。

これに応えてSL大樹が運行を開始したのは2017年のことで、鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間を走り、人気車両の仲間入りを果たしました。また2018年には大手の私鉄としては初めて、蒸気機関車の復元作業に着手しました。

路線概要

 東武鉄道は1都4県にまたがり運行しており、大きくは東武本線と東武東上線に分けられ、合計で13路線あります(2020年度)。

東武本線は東武スカイツリーライン・伊勢崎線、日光線、そして2014年から野田線の愛称名となった東武アーバンパークラインが軸となり支線が繋がっています。東武東上線は池袋を起点にし、通勤・通学客がメインです。

日比谷線、半蔵門線、田園都市線、有楽町線、副都心線、東横線、みなとみらい線、野岩鉄道、そして会津鉄道と複数の乗り入れを実現し、利便性を高めています。

沿線

 国内観光地のメッカの1つであるスカイツリーは、東武タワースカイツリー㈱が運営しており、その名称は東武鉄道と共に登録商標されています。

浅草・押上~東武動物公園間で東武スカイツリーラインの路線愛称導入、とうきょうスカイツリー駅の各特急列車停車、その他のキャンペーンの盛況な様子からスカイツリー効果の高さが伺えます。

実際スカイツリー以前と以後でこの沿線の様相は大きく変わりました。

 観光地としては世界遺産の日光の社寺として根強い人気を誇る日光東照宮や江戸ワンダーランド日光江戸村、東武ワールドスクエア、温泉地と誰もが知るスポットもあります。

 東武鉄道には多くの通勤・通学客が連日利用しており、グループ会社と共に沿線人口の維持・増加、そして生活価値向上を目指しています。

「ソライエ」は豊四季、ときわ台等で分譲マンション、清水公園やつきのわでは土地分譲、そして東向島や北大宮には賃貸という形で展開しています。

また東武ストアや東武百貨店、東武バスも沿線ではお馴染みの施設・機能です。2020年には浅草~東京スカイツリータウン間に複合商業施設「東京ミズマチ」がオープンし、人気の新スポットに加わりました。

車両

 観光から日常生活の足まで、様々なニーズに応える為複数の車両のバリエーションがあります。

東武鉄道初のアルミニウム合金使用の100系、特急りょうもうの200型、特急りょうもうでVVVFインバータ制御方式、省エネを図った250型、特急きりふり等で3編成で運行の350型

途中駅で併分割が可能でフレキシブルな500系、急勾配や雪に強い6050型、スカイツリートレインでお馴染み、展望窓や前面展望スペースを備えイベントでも活躍する634型、8000型・8500型、3両固定

ワンマン対応車両の800型・850型、前面左右非対称型のさきがけで有楽町乗り入れ用の9000型、9050型、8000型の後継車両、地上車両では東武初のオールステンレス製の10000型

東武アーバンパークラインでは車体のラインをフューチャーブルーとブライトグリーンに変えた10030型、10080型、4両編成ワンマン化に対応した20400型、東武初のワンハンドルマスコン搭載の30000系、シャイニーオレンジが印象的な50000型

若干スリムな50050型、先頭者の全長が50000型より130㎜長い50070型、マルチシートを搭載した50090型、モーターに密閉構造を採用、騒音緩和した60000系、フリースペースを設置、公衆無線LAN搭載の70000系、コンセント設置等利便性を高めた70090型があります。

 東武鉄道の花形特急スペーシアは東京と日光方面を繋ぐ特急用100系列車です。1,100mmと幅広のリクライニングシートを採用し、6号車には全6室の個室専用車両があり、部屋には天然大理石のテーブルが備わっています。

 この特急スペーシアは2023年に新型車両N100系の導入を予定しています。

6両編成固定で212席のサイズで、環境を配慮し、運行の使用電力分を再生可能エネルギー由来のものに置き換える「カーボンニュートラルな運行」、つまりCO2の排出実質「ゼロ」を実現することが特徴の1つです。

車両のデザインは現行の形を元に進化させ、車体には日光東照宮の陽明門・唐門・御本社に使われている「胡粉」のような高貴な白を、窓枠は鹿沼の紐子や江戸の竹編み細工のような工芸品を想起するデザインといった和のイメージを取り入れたビジュアルになる予定です。

 レトロ人気に応えリバイバルカラーを実施した例では100系スペーシアと200型りょうもうが挙げられます。100系スペーシアは1990年、200型りょうもうは1991年と同時期にデビューしました。

そこで2021年に両車両のデビュー30周年を記念し、活躍した歴代特急のカラーリングに塗装するイベントが開催されたのです。

 SL大樹は2017年、下今市~鬼怒川温泉間でデビューしました。その威厳あるヘッドマークはC11形の特徴となっている3つの「動輪」にアーティスティックな毛書体で「大樹」の文字を入れています。

SL大樹は定員約200席、自動列車停止装置(ATS)搭載の車掌車、ディーゼル機関車の全6両編成で走るSL大樹。車両は全国の関係者の協力を得て貸与、譲渡された貴重な文化遺産です。このC11形207号には濃霧対策で車両の正面左右に前照灯があり、この特徴あるライトを「かに目」と呼んでいます。

1941年に日立製作所の笠戸工場で誕生し北海道で運行後、1974年に一旦廃車となりました。が2000年に復元し、再び北海道で活躍した後、東武鉄道が借り受けSL大樹に生まれ変わりました。

 2020年8月には東武日光駅と下今市・鬼怒川温泉でSL大樹ふたらが運行を開始しました。

ふたらのヘッドマークは日光を代表する山である男体山とそのシンボルの大剣に雲を合わせたデザインに、ふたらの文字が白く映えているものです。

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