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安全を守る!2つのスタフ

あなたは、スタフという言葉を知っていますか?現在、鉄道用語のスタフには、2つの使い方があります。

1つは閉塞区間で使用する通票の役割のスタフ、もう1つは運転手が使用する列車の運行票のスタフです。ちなみにスタフは英語でstaffと書き、棒状の杖を意味します。

それでは、2つのスタフについて見ていきましょう!

閉塞区間に使うスタフってどんなもの?

現在はCTC(列車集中制御装置)による遠隔制御での自動閉塞が中心ですが、かつては物理的な通票を使用していました。スタフ、票券、タブレットの3つを合わせて通票といい、通行手形の役割を果たしました。

通票を持っている列車だけが単線を走る事ができる、という取り決めをすることで、単線内の正面衝突を防ぎました。鉄道の黎明期には閉塞という概念がなく、また現在のような通信手段も発達していなかったため、乗員や駅員の思い込みや行き違いによる衝突事故が多発していました。

鉄道は鉄のレールの上を鉄の車輪で走行するため、制動距離が長く、危険を察知してからのブレーキでは間に合いません。鉄道の安全確保のために考案されたのが、この閉塞区間という仕組みなのです。

スタフは閉塞区間を運行する最も単純な方式で、 1つの閉塞区間に1本のスタフ(棒)を設定し、このスタフを持っている列車のみに閉塞区間を運行する権利を与えることで、安全な運行を可能にします。

保安設備の保守コストがかからず、人員も少なくてすむので安価で確実な方式といえますが、スタフが戻ってくるまで次の列車が発車できないという欠点がありました。

それを補うために考案されたのが、票券閉塞やタブレット閉塞です。これらは、閉塞区間の両端の駅に閉塞機を設置し、閉塞機に票券やタブレットを入れることで、先行列車が閉塞区間から出たことを後続列車に知らせました。

これにより、スタフ閉塞では不可能な、同方向の連続運転が可能になりました。

ただ、票券閉塞やタブレット閉塞は複数の列車を連続運行出来るという長所はありますが、故障や人為的ミスによる事故の可能性は消えませんでした。

駅員が故障と思い込んで人為的に閉塞装置をこじあけ、票券やタブレットを取り出して発車させてしまったことで起きた衝突事故が、何回か発生しました。閉塞装置を使う閉塞は安全な方式ですが、人が操作する以上ミスを防ぎきれなかったのです。

現在も使われるスタフ

一方、スタフ方式は単純な方式のため、効率は悪いながら、確実な安全運行が可能です。閉塞装置やそれを操作する人員も不要で、低コストという利点もあります。そのため、便数が少ない地方鉄道では、現在でもスタフによる列車交換を採用している鉄道が残っています。

有名なのは青森県の津軽鉄道で、金木駅と津軽中里駅の間では、現在も棒状のスタフを使ったスタフ交換が見られます。

他に名鉄築港線に棒状のスタフが残っているそうです。近年では、スタフ閉塞方式でも、タブレットをスタフとして流用していることが多いので、棒状のスタフはとても珍しいと言えるでしょう。

例えば、大井川鐵道の金谷-新金谷間もスタフ閉塞方式ですが、授受されるのは、輪型のタブレット型のスタフです。

タブレットを閉塞装置に入れず、スタフとして使う場合はスタフと呼ぶべきなのですが、現在はキャリアを含めた輪状の物体自体をタブレットと呼んで混同する方が多くなっています。

運行票としてのスタフ

それでは、もうひとつのスタフを見てみましょう。

実は運転手が運転席に掲示して使用する、列車運行票のこともスタフと呼びます。

運行票を何故スタフと呼ぶようになったかは定かではありませんが、スタフ交換やタブレット交換、票券発行の際に、出発時刻などを記入した運行票を同時に持ち運ぶことがあったので、混同されるようになったのかもしれません。業者によっては、運行票をスタフと呼ぶこともあるそうです。

運行票には、列車種別、停車駅、発車時刻、到着時刻のほかに、停車する番線や最高時速なども書かれており、旅客が目にする時刻表とは違った味わいがあります。

このため、鉄道ショップのほかオークションなどで本物の運行票が取り扱われています。

価格帯は、一枚1000円前後のものから30000円以上するものまで様々です。SL時代のものや希少価値のものに、比較的高額な値段がついています。

ふだん利用する路線のものを集中的に蒐集し、時代によるダイヤの変遷を見て楽しんだり、いつ特急に抜かれるのか、いつ乗務員が交代されるのかを想像して楽しんだりするファンもいます。

ちなみに、通票やタブレットについてもオークションで扱われており、なんと駅で実際に使用された閉塞装置も流通しています。既に姿を消しつつある閉塞装置は、マニアの方にはたまらない商品といえるのでしょう。

スタフを自作する?!

次に、スタフを自作する楽しみ方を見てみましょう。運行票は、いわば運転手用の時刻表なので、Excelを使えば比較的簡単に模倣することが出来ます。自作ならお金をかけずに楽しむことが出来ますから、とても賢い楽しみ方といえますね!

マニアの方は、各事業者のスタフのサイズを調べ、リアルに複製することで運転士気分を味わったり、鉄道シュミレーターを運転する時に自作の運行票を手元に置いて、運転席の雰囲気を楽しんだりしているそうです。

まとめ

いかがでしたか?閉塞に使うスタフから、運転士用のスタフまで、2 つのスタフについて見てきました。それぞれに味わい深いものがありましたね。ふたつの意味を混同せずに楽しめるようになれば、あなたも立派な鉄道マニアと言えるでしょう!

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