大好きを仕事にする鉄道本舗の石川です!

都電荒川線(東京さくらトラム)

 JR山手線を横切って都心部の住宅街の真ん中を小型の電車が単行でゴトゴト走る都電荒川線。

かつて、東京の都区部を縦横に走った都電の唯一残された路線です。下町の住宅街のなかを走り抜けたかと思うと大きな道路の真ん中を車に混ざって走り、時には池袋の高層ビルをバックに走ります。

大きなターミナルに立ち寄ることはありませんが、魅力の詰まった小さな電車です。沿線に桜の名所が多いことにちなみ「東京さくらトラム」の愛称が選定されました。なお、都電のHPではバラの花の名所も紹介されています。

路線概要

 荒川区の三ノ輪橋から新宿区の早稲田までの全長12.2キロ、30の停留所があります。全線通して乗ると、路面区間があるので若干の時間の変動はありますがおよそ50~60分程度の乗車になります。

なお、都電を利用せずにこの区間の最短ルートはおよそ40分程度です。どの路線を使うか考えてみて下さい。

車両基地は荒川電車営業所にあり、最寄駅は荒川車庫前になります。運営者は都電の名のとおり、東京都交通局です。

東京都交通局とは

 東京都交通局は都電の運行だけではなく、都営バス、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、モノレールの運行のほか、電気事業を行っています。

モノレール事業は上野公園内のモノレール上野懸垂線の運行です。残念ながら2019年10月31日ながら営業休止になっていますが、廃止ではありません。

ただ、都民の意見を聴いて今後の方針を検討するとのことなのでこのまま廃止になってしまうかもしれません。

電気事業は多摩川上流の水力発電所で発電した電力を、都の施設で利用するほか、再生可能エネルギーとして電力会社へ供給しています。

 これらの事業を行う東京都交通局は、地方公営企業法の地方公営企業です。独立採算制を原則としており、運賃収入などの収入で経費を賄って運営されています。

都営の名前から東京都の税金で運営されているのではという一部に誤解がありますが、独立採算制の原則により、簡単に税金を投入することはできないしくみになっています。

都交通局の会計は特別会計で管理されており、都の一般会計から切り離されています。2021年度まで、東京都交通局経営計画2019を実施、収益力の向上と経営基盤の強化に努めています。

歴史

 東京都の軌道事業は1911年8月1日、東京鉄道株式会社を買収したことにより始まりました。

買収と同時に東京都交通局の前身、東京市電気局が開局しました。この時に買収された路線のなかに荒川線は入っていませんでした。

 荒川線は、1911年8月20日、王子電気軌道株式会社により現在の大塚駅前と飛鳥山が開通。1930年3月30日面影橋、早稲田間が開通、現在の荒川線に相当する区間が開通しました。

1942年に戦時統制により荒川線も統合されました。1943年に都制施行にともない東京都交通局に名称を変更、1945年の終戦をむかえました。

 戦後、モータリゼーションの進展にともない道路の混雑が問題になりました。

さらに1967年に東京都交通局は財政再建団体に指定されます。交通局立て直しのため東京都交通事業財政再建計画を発表。路面電車の廃止が決定されました。

1967年12月10日都電の廃止撤去が開始され、1972年11月12日、都区部を網目のように走っていた都電が、荒川線を残して全廃されました。

 当初は荒川線も他の都電同様に廃止対象でした。

しかし、荒川線の特徴でもある路線の9割が道路と切り離された専用軌道を走行するため、道路渋滞に影響が少ないこと、並行する道路がなくバス転換が難しかったこと、そして存続を要望する地元の強い声を受け、1974年に存続が決まり現在に至っています。

 現在、三ノ輪橋から早稲田までが荒川線となっていますが、歴史的には4つの路線からなっていました。

三ノ輪橋から熊野前までの三河島線、熊野前から王子駅前までの荒川線、王子駅前から大塚駅前の滝野川線、大塚駅前から早稲田までの早稲田線です。

運転系統も三ノ輪橋から赤羽の27系統、荒川車庫前から早稲田の32系統に分かれていました。1974年10月1日2系統を1系統化し、存続する全線を荒川線として運行を開始しました。

沿線

 荒川線の停留所にもナンバリングが施されています。SA01となる三ノ輪橋から沿線を見てみましょう。

三ノ輪橋の電停は国道4号線より西側に少し入った場所。あたりにはアーケードの商店街などがあります。三ノ輪橋停留所は乗車ホームと降車ホームが少し離れて配置されています。

三ノ輪橋を発車した電車は雑居ビルや商店、民家の間の専用軌道を西北西に進みます。荒川一中前を過ぎたあたりで北西へやや向きをかえ荒川区役所前に到着します。荒川区役所前を出ると北へと向きを変え、右手に荒川自然公園を見ながら進みます。

荒川自然公園は、三河島水再生センターの上部に造られています。公園が途切れ、下水処理場が顔を出したあたりで進路を西よりへ変え北西方向へ進みます。

町田駅前で東京メトロ千代田線、京成電鉄本線と接続し、西へ向かいます。町屋二丁目を過ぎ進路を再び北西へ変えながら下町の住宅街の中を道路の真ん中に設けられた専用軌道を走り熊野前へ到着します。

熊野前の電停は大きな尾久橋通りをはさんで三ノ輪橋方面と早稲田方面のホームが互い違いに配置されています。尾久橋通りの上には舎人・日暮里ライナーの駅があります。荒川線はやや離れた隅田川にほぼ沿って西へ専用軌道を進んでいきます。

荒川遊園前はあらかわ遊園の最寄駅。北側にあらかわ遊園の観覧車が見えます。荒川区立の遊園地という全国的にも珍しい公営の遊園地。2022年春ごろのリニューアルオープンを目指して現在は休園中です。

次は荒川線の車両基地のある荒川車庫前。三ノ輪橋方面の降車ホームが少し西よりの車庫への引き込み線手前に設置されています。荒川車庫前の早稲田方に北側の車両基地へのデルタ線が設けられています。

荒川車庫は荒川線の全車両を管理していますが、トランバーサーを使った留置で、思いほかコンパクトにまとまった車庫になっています。

梶原、栄町と過ぎると、前方に東北・上越新幹線の高架が見え、その下を暫く並行、王子駅前に到着です。

王子駅前の電停はJR王子駅の横に平行ホームが設置されています。王子駅前を出ると荒川線のハイライト区間のひとつに差し掛かります。

出発した電車は急カーブで明治通りの併用軌道へ入ります。明治通りのど真ん中、車をかき分けるように66パーミルの急坂を上って行きます。

左側には桜の名所飛鳥山公園が見えます。飛鳥山の交差点で併用軌道は終了です。進行方向を南南西にむけ専用軌道に入ったところが飛鳥山電停です。南南西方向に住宅街の裏道を専用軌道で進みます。

新庚申塚で白山通りと交差、庚申塚で旧中山道と交差して進みます。巣鴨新田の手前で進行方向を南に変え、前方に山手線が見えてきたら大塚駅前です。

大塚駅の真下に設けられています。南西方向へ進路かえ、急坂を登りながら春日通りを横断向原電停へ到着です。東京メトロ有楽町線東池袋駅と接続する東池袋4丁目電停でグリーン大通りと首都高速5号線と交差、都電雑司ヶ谷で進路をやや南よりに変え、専用軌道を進んでいきます。

かつて都電雑司ヶ谷周辺は閑静な住宅街のなか都電がゴトゴト走り抜けるエリアでしたが、地下鉄新都心線の工事や再開発の影響で空き地や建設予定地、工事現場が目につくエリアになっています。

もっとも、線路東側の夏目漱石など文学者が多数眠る広大な雑司ヶ谷霊園は今後も変わることないでしょう。鬼子母神前で新都心線雑司が谷駅と接続します。都電雑司ヶ谷電停では接続するではないことに注意が必要です。だから都電雑司ヶ谷なのでしょう。

鬼子母神電停を出ると飛鳥山で別れた明治通りに再び出会います。しばらく寄り添って走ります。神田川を渡ると大きく東へ、神田川に平行して進んでいきます。神田川に架かる面影橋のたもとの面影橋電停あります。面影橋を出ると終点早稲田はもうすぐです。

複線が単線にかわり頭端式早稲田電停に滑り込みます。早稲田電停は新目白通り上に設置されています。都営バスの早稲田バス停は少し離れていますが同じ新目白通りにあります。

東京メトロ東西線の早稲田駅はかなり離れた場所になるので乗換には注意が必要です。

車両

 現在、荒川線を走行する車両は、7700形、8500形、8800形、8900形、9000形の5形式です。

7700形は2016年3月7000形の車体を大幅更新して登場、全8両が導入されました。冷暖房機器や放送機器を再利用する一方、制御機器はVVVF制御を導入、台車も8900形と同じもの更新。

乗り心地の向上、省エネ化を図ったものです。最新の8900形に比べコストが低くなるため、8900形の調達予定数16両から8両を7700形としました。

8500形は1990年から93年にかけて5両が導入された車両です。都電としては28年ぶりの新造車。都電初のVVVF制御にWIN駆動方式の組み合わせを採用。外観もZパンダと側面のLED行先表示器に特徴がありました。

8800形は2009年に登場した車両です。ローズレッド・バイオレット・オレンジ・イエローの鮮やかな車体色に、大きく横長の大型窓、丸みを生かした曲線デザインが目を引く車両です。全部で10両導入されています。黄色の車両は1両のみのレア車両です。

8900形は2015年に導入された車両で、8両が製造されました。8800形とかわり直線基調のスタイリッシュなデザインと8800形と同様な鮮やかなカラーリングの車両です。車体色はオレンジ、ブルー、ローズピンク、イエローの4色の展開です。

外観上は屋根上機器がシングルアームパンダグラフと冷房装置だけというスッキリした感じも特徴です。

9000形は2007年と2009年に1両導入された車両です。イベント車両として使用するためレトロな外観を有しています。

車体色は2色、9001番は下部がエンジ色、上部がクリーム色のツートンカラー、9002番は下部がブルー、上部がクリーム色のツートンカラーになっています。

団体貸し切りに使用されますが、通常運用にも入っています。2両しかないレアな車両になります。

 都電荒川線は下町情緒のあふれる住宅街の路地裏を専用軌道で走り抜けます。

オリンピックを境に再開発の進むかわりゆく東京を今日もコトコトと走っています。乗ったことのない方、一度乗ってみてはいかがでしょうか。散策には一日乗車券が便利です。

出張買取も宅配買取も「鉄道本舗」にお任せください!

鉄道本舗では、鉄道グッズ専門店ならではの高価買取で、「丁寧な査定」「親切なサービス」をモットーに、お客様に満足していただけるように買取サービスの対応をさせていただきます。

社長の石川自らが広告塔となり、自身の趣味である鉄道好きが高じて始めた事業であるため、社長の鉄道への愛情が満載の企業です。

また、「これって売れる?」と現地で相談しながらの買取ができるため、お客様との間に安心感と信頼関係が芽生えるのも弊社の魅力の一つ。多くのお客様に定評をいただいております。

<鉄道本舗の特徴>

  • 全国どこへでも出張買取に対応
  • 鉄道模型、部品、資料の高価買取
  • 遺品整理、残留品にも対応
  • 鉄道愛溢れるスタッフ

鉄道本舗では、買取時に鉄道トークを交えつつ楽しく「売るもの・残すもの」が決められます。お客様が大切にしてきたものだからこそ、一緒に慎重に考えていきましょう。

そして、大切な鉄道グッズを真心を込めて親切丁寧に高価買取させていただきます。どんなお問い合わせでも、ぜひお気軽にご相談ください!