日本貨物鉄道（JR貨物）

明治初期、近代日本の黎明期。鉄道の開業とともに、貨物列車の歴史も始まりました。

現在では、北海道から鹿児島県まで、全国の約140ヶ所に駅があり、日本各地へ、物資の大量輸送、長距離輸送を可能にしています。日本貨物鉄道は、人々の生活をより豊かにする一役を担っています。

歴史

　貨物鉄道の歴史は、明治初期の鉄道開業とともに始まりましたが、ここでは、日本貨物鉄道（JR貨物）の始まりから触れていきたいと思います。

　日本貨物鉄道（JR貨物）は、1987年（昭和62年）に国鉄が分割民営化され、発足しました。

バブル経済の頂点にあり、高速道路の開発が進んでいた当時、「JRは旅客のみにして、貨物はトラックに任せてはどうか。」という声もありましたが、「長距離輸送にメリットがあり、災害時の物流確保の観点からも相続させる必要がある。」という国鉄当局からの主張もあり、JR貨物創設につながりました。

　1993年（平成5年）には、サービスマークの「JRF」が制定されました。貨物コンテナのマークとしてご存じの方も多いのではないでしょうか。

　また、1989年（平成元年）には芦別駅、赤平駅の発送を最後に国産石炭の輸送がすべて廃止されましたが、1996年（平成8年）には、タキ1000形を使用した高速石油輸送列車を新設し、現在もエネルギー資源輸送の一翼を担っています。

　2000年（平成12年）、初のオフレールステーション、羽生オフレールステーションを開業。線路を伴わない貨物駅のため、貨物列車の発着はありませんが、拠点駅との間をトラック便が往復し、近くに貨物駅を持たない地域の利便性を高めました。

その後、オフレールステーションは全国に広がっています。

　貨物列車は、旅客列車と同じ線路を使用して走ります。北海道の函館本線から、鹿児島県の鹿児島本線まで使用しており、文字通り日本列島の北から南まで荷物を届けることが可能です。

　しかし、高速道路の発展からトラック輸送が主流となり、運行を休止している路線も多くあります。

　車両は主に直流形電気機関車、交流形電気機関車、ディーゼル機関車、ハイブリッド機関車という種類があります。それぞれの主な車両を紹介しましょう。

　直流形電気機関車の主力は、EF210形式（愛称：ECO-POWER桃太郎）です。平成8年に試作機が誕生して以来、改良が加えられながら製造され続けています。

　また、EH200形式（愛称：ECO-POWERブルーサンダー）は、上越線などの勾配線区を中心に貨物列車を牽引している機関車です。愛称の通りの青い車体は、多くの鉄道ファンを魅了しています。

　交流形電気機関車は、直流電化区間、交流電化区間のどちらも走行できるものが主力となっています。日本海縦貫線を中心に走るのは、EF510形式（愛称：ECO-POWERレッドサンダー）です。ブルーサンダーとは対照的な赤い車体が目を引きます。

　首都圏から北海道間と、九州北部で貨物列車を牽引するのは、EH500形式（愛称：ECO-POWER金太郎）。側面に金太郎のイラストがあり、子どもにも人気の車両の一つです。

　ディーゼルエンジンで発電を行い、発生した電力でモーターを回して走るディーゼル機関車、DF200形式（愛称：ECO-POWERレッドベア）は、北海道内での貨物列車を牽引しています。

　HD300形式は、貨物駅での入換専用機として使われています。ディーゼルエンジン発電機と蓄電池の両方の動力源で協調運転するハイブリッド方式の機関車で、2010年に製造されたまだ新しい車体です。

従来のものと比較して、燃料消費量36％低減、NOx排出量62％削減、騒音レベル22dB低減を実現した環境に配慮した車両となっています。

　時代の流れとともに、輸送貨物も大きく変化し、対応してきた日本貨物鉄道。北は北海道から南は鹿児島県まで長距離輸送できる強みを活かし、東日本大震災では、石油製品を被災地に届け、人々に希望を与えました。今日も、生活を支える一柱として、全国を走っています。

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