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伊豆箱根鉄道

静岡県の三島市と伊豆市の修善寺、神奈川県の小田原市と南足柄市とを結ぶのが伊豆箱根鉄道です。


それぞれ駿豆線、大雄山線と呼んでいるふたつの路線はお互いに性格が異なっています。


観光色もある駿豆線と通勤需要の強い大雄山線。車両の面からも異なっている点も多いのです。そんな伊豆箱根鉄道の歴史と特色を、車両の面からみていきます。

伊豆箱根鉄道車両の歴史

伊豆箱根鉄道は西武鉄道傘下の会社です。このため、利用している車両は西武鉄道からの譲受車両が中心となっています。


このほか、JRからの乗り入れも行っているため、JRの車両も見ることが可能です。


伊豆箱根鉄道では1000系、1100系と呼ばれていた車両も元をただせば西武鉄道製の車両。


1000系は1963年から2005年、1100系は1989年から2012年にかけて活躍していました。


これらの車両には西武鉄道で活躍したのち譲受をされた車両と、伊豆箱根鉄道が自ら発注して製作した車両が含まれています。


元々修善寺などで湯治を行なう人々のために開通した駿豆線。そうした経緯もあり、通勤路線でありながら伊豆半島への観光路線も担っています。


このため、JRから特急「踊り子」が直通運転を行なっています。


一方の大雄山線は元々沿線寺社への参詣客のために開通した路線。それが、通勤色がどんどん強まった路線なのです。


大雄山線で運用されていたのは、モハ151形、クハ181形などの車両たち。大雄山線は通勤客も多く、地方路線の中では収益性の高い「優等生」路線となっています。

伊豆箱根鉄道の特色

伊豆箱根鉄道の特色は2路線を保有しながら、それぞれの路線の車両の互換性がないことです。


駿豆線の車両は大雄山線を走っていません。大雄山線の車両も駿豆線を走りません。


ふたつの路線がつながっていないこともありますが、路線の形状に問題があるのです。


大雄山線は急カーブがあることから全長の長い車両は走行できません。

駿豆線の車両は1台あたり20m前後の全長に対し、大雄山線は18mクラス。こうしたことから、駿豆線は現在7000系電車が主力、一方の大雄山線の主力車両は5000系。


整備や車両のやり繰りを考えるとどちらでも運用できる車両が有利ですが、路線の事情から異なる仕様の車両を走らせています。


こうした、保有車両の互換性がないことが伊豆箱根鉄道のひとつの特色です。

このほか、駿豆線の特色としてはJRの乗り入れがあります。特急「踊り子」が乗り入れることからE257系2500番台の車両を沿線でみることが可能です。


踊り子といえば、東京方面から伊豆半島へ向かう代表的な観光列車。伊豆半島東側の熱海や伊東でも多く見られる踊り子ですが、半島西側でも頑張っています。

まとめ

伊豆箱根鉄道の現存する2路線はどちらかといえば観光目的で敷設された路線でした。


それが周囲の変化や企業の努力により、通勤にも使われるようになったのです。


観光一本では今回のコロナ禍のような事態に対応できません。


通勤通学だけを頼りにしていても周辺が開発されなければ需要は伸びないものです。


観光と通勤通学が両立されている伊豆箱根鉄道は日本の鉄道の中でも稀有な存在といえます。

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