井原鉄道 | 鉄道本舗の石川です！

井原鉄道は、岡山県の総社駅から広島県の神辺駅を結ぶローカル線。

全長41.7kmの路線には豊かな自然が広がり、四季折々の風景が楽しめます。

沿線には、奈良時代に建てられた備中国分寺や、江戸時代の街並みが残る旧矢掛本陣などの観光名所もあり、生活路線だけでなく観光路線としても親しまれている鉄道です。

井原鉄道の歴史

井原鉄道は、1966年に岡山駅から総社駅を結ぶ吉備線の延伸路線として国鉄が工事を始めました。

しかし1980年の国鉄再建法によって建設中止となったため、岡山、広島の地方自治体が中心となって井原鉄道を設立します。

すでに建設されていた高架などをそのまま利用する形で、1987年に工事が再開。1999年1月11日に総社―神辺間で井原鉄道が開業しました。

ちなみに最初の列車は、平成11年（1999）1月11日11時11分11秒と、1を揃えた時刻に出発しています。

2010年3月にはダイヤ改正に伴い、全列車ワンマン体制となりました。

2018年7月に起きた西日本豪雨の影響で全線の運行がストップしますが、バスで代行輸送をしながら復興に努め、同年9月には全線で運行を再開します。2020年には、開業21年で利用者2300万人を突破しました。

井原鉄道で運行する車両はIRT355内燃動車で、通勤通学時間や特別運行を除いて、基本的に1両編成です。

一般車両は定員110人（49席）のセミクロスシート。シルバー基調の外観で、車体の上下には青や緑のラインが引かれ、自然風景に調和できる配色が施されています。

イベント車両には2005年から運行している「夢やすらぎ号」があり、茜色の車両とブラウンの内観がレトロな雰囲気を醸し出す人気の車両です。

定員101人（47席）で、4人掛けのテーブル付きボックス席もあります。

荷物棚やカウンター、窓台などに天然ムク材を使用し、落ち着いたインテリアで旅を演出。

通常運行以外に貸し切りでの利用もできるので、イベントや団体客にもおすすめです。

また2021年には、クラウドファンディングの支援で「アート列車」が運行を開始。

倉敷市にある大原美術館所蔵の作品約40点を、車両の内外にラッピングしています。

切手風にデザインされた絵画が窓枠に貼られ、外から見るだけでも楽しめる車両です。

車内では壁や天井の広告スペース、ロールカーテンにも絵画が飾られていて、まるで小さな美術館の装いとなっています。

アート列車は、井原鉄道として初の全席ロングシートを採用。車体は絵画の額縁をイメージした金色で、西日本豪雨や新型コロナウイルスの影響で弱体化した地域を盛り上げる願いも込められています。

井原鉄道の特徴は、全長の約8割にもおよぶ高架線。高い場所から眺める風景は、より自然を感じられて圧巻です。

また高架線は線路の高低差が少なくカーブもゆるやかなので、スピードをあまり落とさずに走行できます。

速度が大幅に変わらないため、揺れの少ない快適な乗り心地といえるでしょう。

十分に土地があるにもかかわらず高架を作った理由は、まっすぐな線路を作ろうとしたため。

着工当時、地方路線は曲線が多く、スピードが遅くなっていました。

そこで他との差別化を図るため、線路をまっすぐにして走行スピードを速くしようと考えます。

そのため全線のほとんどが高架線となり、スピードも落ちることなく快適な運行を実現しているのです

井原鉄道の一般車両は1時間に1～2本の運行、イベント車両は1日に4～5本の運行です。

イベント車両は日ごとに運行スケジュールが変わりますので、利用前に公式ホームページなどで確認しておくといいでしょう。

自然あふれる田園風景を眺めながら、快適な列車の旅ができる井原鉄道。地域を盛り上げようと趣向を凝らしたイベント車両や、沿線の観光地と協力したキャンペーンも大きな魅力となっています。

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