秋田内陸縦貫鉄道

　多くの支援団体に支えられ、第三セクターとして平成元年に開業、2019年で全線開業30周年を迎えたスマイルレールこと秋田内陸縦貫鉄道は、角館という全国に知られる歴史の観光スポットを有しています。

開業以来変わらず地域の人々と共に歩み、近年は地域特有の様々な魅力をより広く発信中です。

歴史

　秋田内陸縦貫鉄道の前身は2つの国鉄路線です。開業計画の一環としてまず日本三大銅山の１つだった阿仁鉱山がある鷹巣から米内沢間を結ぶ工事が開始、これが1936年に阿仁合まで延伸され「阿仁合線」と呼びました。

そしてもう１つ、が1971年に暫定開業した角館～松葉間を結ぶ角館線です。

　ところが後にこの両線ともいわゆる「特定地方交通線」の指定を受け、整理対象となりました。

そこで地元の人々が立ち上がり働きかけた結果1984年に第三セクターとして設立したのが、秋田内陸縦貫鉄道です。

こうして両線は引き継がれ、2年後に阿仁合線を「秋田内陸北線」、角館線を「秋田内陸南線」の名で運行が始まりました。

そして1989年、国鉄時代の当初の計画であった鷹巣から角館までの全線が開通し、92.4kmの秋田内陸線として開業を果たしました。

秋田内陸縦貫鉄道には29の駅があり、うち3駅が有人、3駅が委託、23駅が無人駅となっています。

各駅停車で鷹巣～角館間を1時間半弱、この他に快速と急行もりよし号があります。角館駅と鷹巣駅の発着はJR線との接続ができています。

途中、北秋田市と仙北市の間に約5.7km、ほぼ直線で走る十二段トンネルや笑内（おかしない）～萱草（かやくさ）間にはトラス鉄橋の大又川橋梁を通ります。

　角館はいわずと知れた藩政時代を彷彿とさせる城下町。国の重要伝統的建造物群保存地区に相応しく手入れが行き届き、落ち着いた街並みが広がっています。

　近年新たな観光スポットとして期間限定、稲刈りシーズンまで見ごろとなる田んぼアートは地元や関係者が貢献し、沿線の複数個所で見ることが出来ます。

シーズン中には一部の列車で徐行運転用の特別時刻表を編成したり、急行もりよし号で田んぼアートの解説をするサービスも行っています。

またこの地域は星空のきれいなことでも知られており、PR としてイベント列車の企画、宇宙ポストを設置等を行っています。

　沿線はまた温泉地域でもあります。そこでこの地域を「AKITAの鉄道温泉郷」と名付けて様々な旅の提案をしています。

鷹巣、米内沢、阿仁前田温泉（旧阿仁前田）、阿仁マタギ、西明寺、そして角館に合計9軒の鉄道温泉（駅から徒歩又は送迎で行ける温泉）があります。

　秋田内陸縦貫鉄道の顔はAN-8800形軽快ディーゼル動車で、1988年に新潟の鐵工所で製造されました。車両長18.5mは第三セクター鉄道として最大級を誇ります。

強力直噴型250PSという効率の良いディーゼルエンジンを搭載することで省エネ化を図っており、最高速度は95km/hです。また車窓が楽しめるよう大きな窓が設置されています。

　8808号車はお座敷車両です。定員40名、マタギの里をイメージし、掘りごたつと畳の2通りの仕様が簡単に変えられるようになっており、カラオケ設備もあるイベント列車として活躍しています。

　AN8900形軽快ディーゼル動車はイベント要員として造られました。車両の先端部は通り抜けのドアがない非貫通流線型です。

客室は景色を楽しめ解放感がある大型固定式ガラス窓を使用しています。旅客定員はトイレの有無により89人又は91人、カラオケやビデオカセットデッキ、スピーカー等があり各種のイベントに対応しているのが特徴です。

　2021年9月、このAN8900形の片運転台車両が引退となりました。そのオマージュとしてトミーテックから模型が発売され、形を変えて懐かしむ人々の手に残ることになりました。

　イベントや団体貸し切りで活躍している列車には全長18.5mのAN2000形もあります。

フリースペースを設けており、乗客の希望に合わせてお座敷やミニステージとして利用でき、車窓を楽しめる大型固定式窓に、天窓も設置されています。制御回路は既存の車両と総括制御が可能です。

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