Adachi

歴史

株式会安達製作所は、終戦後すぐに設立されたメーカーです。「Adachi」とアルファベットで表記されることもあります。

初代の社長は、実車メーカーに勤めていた経験を活かして独立し、製作所を作りました。

設立当初は、カツミの下請けとしてカツミの輸出用機関車を製造していました。カツミは、1947年設立の鉄道模型メーカー、卸で、終戦直後は進駐軍を顧客とした鉄道模型を多数製造し、外貨を獲得していました。カツミが進駐軍に販売していた鉄道模型の中には、安達製作所が製造を請け負っていたモデルも含まれていたのでしょう。

また、1948年に日本初の1/80スケールの量産品日本型モデルとして販売された「国鉄ED14形電気機関車キット」は、1950年に廃業したエース模型店が発売元とされていますが、安達製作所の手によって製造されたものであるという説もあります。

また、1879年に設立された天賞堂のOEM生産（納入先・委託者商標による受託製造）も行っています。天下の天賞堂のOEM生産を行うということも、安達製作所の高い技術力の証左といえるかもしれません。

安達製作所は、天賞堂が生涯学習の一環として行なっている鉄道模型工作講座の委託も受けています。

なお、安達製作所の製品自体、天賞堂を発売元としていますが、サービスセンターは自社に設けています。

安達製作所の本社は東京都北区にあり、自社製品としては16番ゲージの鉄道模型キットを主に販売しています。なお、主な製品の価格は、公式サイトに掲載されている価格表からチェックすることができます。

また、1979年に「日本鉄道模型連合会」として設立し、現在は「一般社団法人日本鉄道模型協会」と名称を変更した団体の一員としてもよく知られています。この団体には、ほかに天賞堂、トラムウェイ、日光モデル、ワールド工芸などが所属しています。

特徴

安達製作所の特徴は、他社の下請けやOEM生産を数多く手がけ、日本の鉄道模型界を縁の下から支えているところです。

実車メーカーで経験を積んだ初代社長が戦後すぐに独立して作った製作所ということで、さまざまなノウハウが蓄積されているのでしょう。

OEM生産は、受注側（この場合は安達製作所）のブランド名が表に出ないため、自社ブランドを確立するには不利と思われがちです。

しかし一方で、OEM生産を受けることによって、依頼者のノウハウを学べるというメリットもあります。

安達製作所は戦後しばらくカツミの下請けを続け、天賞堂のOEM生産を行なっていました。日本の鉄道模型史における重要なブランドと下請けという形で関わることで、安達製作所は自社にないノウハウを存分に吸収したと想像されます。

安達製作所自体、実車メーカーでの下積み経験がある経営者が立ち上げた会社ですが、OEMによってさらに力をつけたといえるでしょう。

その証拠に、安達製作所のキットは再現性の高いことで知られています。真鍮性キットははんだづけをしてから塗装を行うものもあり、初心者には難しいキットとなっていますがその分、非常に精巧です。

戦後から確かな技術を積み重ねて、細部にまで妥協しない模型づくりを行う姿勢こそ、安達製作所の最大の特徴といえるかもしれません。

それは鉄道模型の世界だけにとどまらず、日本のものづくりの姿勢、真髄にも通じています。

ファンを惹きつける理由

安達製作所（Adachi）の製品は、バラキット、汽笛などの各パーツに至るまで非常に商品が充実しています。バラキットは蒸気機関車のベーシックなキットから分売パーツ、電気機関車やディーゼル機関車、電車、貨車、客車のキットが揃っていて、ディテールアップパーツ、ワッシャー類なども取り扱いがあります。

近年では、アルミダイキャストで成型したカメラの部品も取り扱っており、精密部品の製造メーカーとして一目置かれる存在でもあります。

鉄道模型の販売は、明治から現在に至るまで一流店として銀座に君臨し続ける天賞堂が行なっていて、格式と風格を感じさせる点もファンを満足させるはずです。

安達製作所と天賞堂は、天賞堂が安達製作所に対してOEM生産や鉄道模型工作講座の委託を行うといった関係を築いています。日本最高峰といえる天賞堂と信頼関係を構築しているというブランドバリューを魅力に感じる鉄道模型ファンも少なくないでしょう。

また、サービスセンターを安達製作所本社に置き、アフターサービスを販売店任せにしていないところも好感がもてます。

安達製作所の製品は、その多くがはんだづけを行なって完成させる真鍮性です。そのため、はんだづけのための工具も自社製品としてラインナップされています。

製品の特性から、顧客層は鉄道模型の組み立てに熟達した長年の模型愛好家が多いといえるでしょう。目の肥えた鉄道模型ファンを満足させる確かな技術が、安達製作所の愛される所以です。

歴史と技術の高さを兼ね備えた、日本屈指の鉄道模型メーカーといえるでしょう。

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