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箱根登山鉄道

箱根登山鉄道の歴史

箱根登山鉄道は神奈川県西部の箱根町周辺に路線を持つ私鉄で、1888年設立の小田原馬車鉄道を発祥としています。

現在運行している路線は、小田原駅~強羅駅間15kmの「鉄道線」と強羅駅~早雲山駅1.2kmの「鋼索線」です。

一般的には鉄道線は「箱根登山電車」、鋼索線は「箱根登山ケーブルカー」と呼ばれています。

1948年に小田急電鉄が東京急行電鉄から分離する際に、箱根登山鉄道が小田急グループに加わったこともあり、現在は小田急線が小田原駅経由で箱根湯本駅まで乗り入れています。

小田急線の乗り入れは1950年に始まりましたが、そのときに大きな問題となったのが軌間の違いです。

鉄道線は標準軌ですが、乗り入れる小田急線は狭軌だったため、標準軌のレールの内側に狭軌用のレールを一本追加する三線軌条という方法でこの問題を解決しました。

しかし、三線軌条を採用すると、鉄道線と小田急の車両で車体の水平方向の位置に違いが生じるため、両者を連結できない、プラットホームと鉄道線の車両とのすき間が大きくなり危ない、といった新たな問題が生じました。

そこで、2006年から小田原駅と箱根湯本駅間は狭軌の小田急の車両のみを使用することで、両者の軌間差の問題を解決しました。

その結果、小田原駅発の列車はすべて箱根湯本駅止まりとなったため、その先に行くには必ず乗り換えが必要です。

箱根湯本駅より先では、急勾配に対応した車両が採用されています。

現在運用している車両はモハ1形、2形、1000形、2000形、3000形、3100形で、モハ1形は開業時に導入したチキ1形を改造した、同社で最も古い車両です。

鋼索線では、2020年にケ10形とケ20形の運用を開始しています。

箱根登山鉄道の特徴

箱根登山鉄道の大きな特徴は勾配の厳しさで、箱根湯本駅と強羅駅の間には1000m進む間に80m登る80パーミルという、普通の鉄道(粘着式鉄道)で日本一の急勾配があります。

小田原駅~箱根湯本駅間はそれに比べると勾配が緩やかで、同社では「平坦線」と呼んでいます。

しかし、それでも平坦線の勾配は最大で40パーミルあり、他の鉄道会社にとっては急勾配と言え小田急線が乗り入れる際には、ブレーキを急勾配に耐えられる仕様に改造するなどの対策が取られました。

また、通常の車両はカーブ外側のレール摩耗防止のため、油を塗ることでレールの摩耗を抑えています。

同じことを急勾配の鉄道線で行うと、上り坂での空転や下り坂での滑走が生じるリスクがあるため、鉄道線では油ではなく水をレールの摩耗防止に使用しており、片道だけで50L~80Lもの水を使用します。

そして、道中3か所に急勾配を登るためのスイッチバックがあり、運転士と車掌が前後に入れ替わる様子を見ることができます。

さて、小田急の乗り入れに伴い小田原駅から箱根湯本駅まで三線軌条が導入されましたが、現在は狭軌の小田急の車両のみで運行しているので三線軌条は不要になりました。

しかし、標準軌である鉄道線の車両基地が、箱根湯本駅から小田原側に一駅行った入生田駅にあるため、入生田駅~箱根湯本駅間には三線軌条が残っています。

この辺りでは、レールが複雑に分岐しているので、興味深くレールを見ることができる区間です。

鋼索線は関東では最古のケーブルカー、国内では生駒ケーブルについで2番目に古いケーブルカーです。

最大勾配は200パーミルで、鉄道線とは比べ物にならないほどの急勾配です。

現在の車両は4代目の台車を流用して新造した、5代目のケ10形とケ20形を運用していますが、座席がロングシートであることが特徴的です。

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