四日市あすなろう鉄道は2015年に運営を開始した、できたてといっていい鉄道会社です。
ただ、路線自体は新規に敷設したわけではなく、近鉄から移譲された路線を継承しています。
2路線を有するも、その総延長は10㎞にも満たない短い路線です。そんな四日市あすなろう鉄道の歴史と特色を、車両を中心にみていきます。
四日市あすなろう鉄道の歴史
四日市あすなろう鉄道は近鉄の内部線と八王子線を運行する鉄道会社です。
少々複雑ですが、四日市市が線路や車両を保有し、それを借り受ける形となっています。
その開業は2015年とまだ10年(2024年現在)も経過していません。
それでも内部線は大正元年に開業した非常に古い路線のひとつです。四日市あすなろう鉄道は軽便鉄道をルーツとしています。
内部線開業時の軽便鉄道の軌間は762mm。これが今でも受け継がれているのです。
このため、車両選択の幅は非常に限られます。
これまで四日市あすなろう鉄道が運用してきた車両の中で代表的なものはサ120形です。
近鉄のモニ220形を改造した同車両は、同じ三重県内を走る三岐鉄道でも活躍していました。
親会社である近鉄では見かけなくなった特殊狭軌の車両ですが、その傘下や影響下にある鉄道ではまだまだ現役で特殊狭軌の車両が活躍しています。
サ120形は1977年に導入され、2015年までの長きにわたり運行されていました。
四日市あすなろう鉄道の特色
四日市あすなろう鉄道の特色のひとつは軌間が狭いこと。
特殊狭軌と呼ばれる、軽便鉄道以来のゲージを現在でも使用しています。
軽便鉄道を発祥とする路線はいくつもありますが、特殊狭軌であるナローゲージを利用しているのは多くありません。
ナローゲージは762mm。それに連れて車両の全幅も狭くなります。
標準軌や狭軌を見慣れている人からすると、特殊狭軌はとても幅が狭く感じるものです。
そんな四日市あすなろう鉄道で運用されているのは、260系と呼ばれる車両。近鉄から移管された車両です。
開業当初から利用されていましたが、260系が内部線や八王子線に導入されたのは1982年のこと。開業当初から老朽化の問題がありました。
ここでどこかの鉄道会社の中古車でも譲り受けたいところですが、ナローゲージでは代替性がありません。三重県内には三岐鉄道が一部ナローゲージを採用しているものの、同じよう車齢の車両ばかり。
そこで四日市あすなろう鉄道は260系のリニューアルに踏み切ったのです。
外観の塗り直しやバリアフリー化、冷房能力の強化を行い、一部では「新260系」と呼ばれるほどの変更が加えられました。
これらの車両に一部新造車も加え、少ない車両数ながらも運行を行なっています。
まとめ
四日市あすなろう鉄道は総延長が2路線合わせても7㎞程度と短い路線です。
特筆すべき観光地や貨物輸送の需要もありません。
それでも短い営業距離の割には収支的には健闘しています。沿線の四日市市のバックアップがあるとはいえ、企業努力の賜物といえるでしょう。
日本では珍しくなったナローゲージで今日も四日市市あすなろう鉄道は走っています。
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