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江ノ電(江ノ島電鉄)

「江ノ電」の愛称で人々から愛される江ノ島電鉄は、湘南の街に馴染んだ地域住人にも観光客にも人気の鉄道です。

藤沢駅から鎌倉駅までの10㎞を所要時間34分、合計15駅で結んでいます。

歴史

江ノ電は1902年(明治35)に藤沢駅~片瀬(現江ノ島)駅が開業、1910年(明治43)に小町(現鎌倉)駅までの全線が開業し、当時は軌道法に定められる路面電車として認可・運行されていました。

1944年(昭和19)軌道業から地方鉄道業に変更許可を受けて「軌道」から「地方鉄道」に、つまり路面電車から鉄道へと変わります。

それに伴い併用軌道上にある駅の廃止を求められ駅の減少と位置変更が行われましたが、そのような改良には限界があり、一部の線路や構築物については「特別設計認可」(特認)を受けて運行を続けていました。

(形式上は江ノ電から地方鉄道業へ変更の申請があったとされていますが、実際は軍から要請に従ったものだと言われています。

翌年の1945年(昭和20)に終戦となり、鎌倉は空襲の被害に遭うことがなかったために江ノ電も大きな被害を受けずに済み、古い建物や街並みも残り現在に至ります。)

1987年(昭和62)に江ノ電は、運輸省より特別設計箇所の多さについて指導を受け、江ノ電独自の「建築限界」「車両限界」を定めることになりました。

路線概要

江ノ電の路線は藤沢駅~鎌倉駅の江ノ島電鉄線の一路線のみで全線単線となっており、全線開業時に39駅あった駅は増減・駅名の変更を経て現在15駅が使用されています。

路線の一部に併用軌道区間(江ノ島駅~腰越駅の間)があり使用されている車両が小さめであること、これまでの経緯から路面電車と思われがちですが、江ノ電は鉄道事業法に則って運営される鉄道です。

極楽寺駅~長谷駅間にある極楽洞は2010年(平成22)に鎌倉市の景観重要建築物に指定され、江ノ電としては2014年(平成26)に土木学会選奨土木遺産に選出されています。

開業した明治時代の雰囲気を残しながら現代の湘南風景の一部となっている江ノ電は、鉄道という側面だけに留まらず価値を見出され、人々から大切にされています。

沿線

江ノ電は観光客の足としては勿論、湘南に暮らす人たちの生活・通勤にも利用されています。

江ノ島駅~腰越駅の間には併用軌道区間があり、街中を車や人と共に江ノ電が走ります。

その他にも鉄橋やトンネル、民家の庭先すれすれを通った次の瞬間に海が広がるなど、乗っているだけでも十分楽しめる風景が鉄道ファンに限らず人々を引き付けてやみません。

江ノ島電鉄の名前にも使用されている江ノ島駅には、江ノ島電鉄本社があります。

かつては独立した霊地として外部と遮断されていたと言われる神奈川県指定史跡・名勝江の島へは現在、江ノ島駅から5分ほど歩き海岸に出て、橋を渡っていくことが出来ます。

鎌倉駅は言わずと知れた観光地の拠点であると同時に、JR東日本の鎌倉駅と乗り継ぎが出来ることもあり、江ノ電の駅で一番利用者数が多い駅です。同じ構内に改札を隔ててJRと江ノ電の乗り場があります。

車両

現在は6種類の車両で、すべて2両1組の連接車です。それぞれの車体の形状が異なること、洗車機がないこと、環境への配慮などから手洗いでの洗車が行われています。

1956年(昭和31)から1968年(昭和43)にかけて投入された300系の6編成12両のうち、1編成2両が今も現役で活躍しています。台枠は京王電鉄のものを流用し、車体と台車は新しく作られた車両で、1998年(平成10)に制御装置と制動装置を更新しました。

1979年(昭和54)、完全新造車として48年ぶりに投入された1000系は、6編成12両が現在も運用されています。登場当時から全国的な人気を集め、翌年には鉄道友の会が会員投票によって決定するブルーリボン賞を受賞するほどでした。

その後江ノ電の標準色(グリーンとクリームの塗分け)に変更、リニューアルをしながら運用されています。

1990年(平成2)に投入された2000系は、同年に通商産業大臣のグッドデザイン商品に選定、藤沢市都市デザインデザイン賞を受賞しました。

2016年(平成28)から2018年(平成30)にリニューアルをして現在も3編成6両が運用されています。大きな正面ガラスが特徴的な2000系ですが側面の窓も大きめで、客用のドアの幅や高さなど全体的に広めに造られています。

1997年(平成9)の開業95周年を記念して1編成2両のみ登場した10系は「レトロ電車」「レトロ車両」と呼ばれ紫紺の車体はオリエント急行やロンドンバーミンガム鉄道の王室客車など、ヨーロッパの個性的な車両の雰囲気を取り入れた高級感あるデザインが特徴です。

開業100周年となる2002年(平成14)に登場した20系は、江ノ電の標準色(グリーンとクリームの塗分け)ですが外観は10系を、内装は2000系をもとに設計され、更に洗練された車両です。

現在は2編成4両が運用されています。

2006年(平成18)に登場した500系が、現在運用中の江ノ電車両の中で最新車両となります。

江ノ電初のVVVFインバーター採用の省エネルギー設計で、環境に配慮した車両です。2003年(平成15)に引退した旧500系のデザインを継承しています。

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